ジセダイセレクションズ

美しい学園内を浮遊する校舎、鮭の腹からあふれるイクラのように大量に降り注ぐ薔薇の花、剣を用いた決闘、くるくる縦ロール、フリル、レース、そしてカーレース。女の子ならうっとりする鉄板のモチーフをこれでもかと詰め込みながら、不条理100%の世界観で見ている人を混乱させつつ強引に最後までグイグイひっぱってゆく、ロマンチックと疾走感のマリアージュに成功した伝説的アニメ映画。主人公が最後×××になってしまう当たりから脳みそパッカーン状態で楽しめます。ラストシーンを見る度に「働こう…！」と生きる活力が湧いてきます。

復讐に燃えるユダヤ人女性・ショシャナ、狡猾で口上に長けたナチス親衛隊大佐ランダ、そしてブラピ演じる豪腕殺人ソルジャー。4人の欲と恨みと思惑が絡み合い息もつかさぬままクライマックスへ。タランティーノ特有の長い会話シーンによる、極限まで張り詰めた緊張、からの大バイオレンス、そしてすべてをぶちこわす爽快感あるラスト。彼の暴力映画はあそこまで派手にやるから気持ちいいんですよね。タランティーノ映画を一緒に見てくれない人とは付き合えません。

松尾スズキ初監督のラブコメ映画。石で絵を書く「自称漫画芸術家」蒼木門と、コスプレイヤーで同人作家の証恋乃の二人の自意識と下心と欲と承認欲求の入り混じった「イタイ」恋愛の果ての、元漫画家・毬藻田を交えたマンガバトル。オタクの世界をディティールまで表現しきった濃い映像、キレッキレの登場人物とセリフに笑いつつ、なんだか自分に重なる部分もあるような気がして、情けない主人公たちを笑えない。けれど基本は松尾スズキらしく、バカでポップ。見終わったあとはポジティブになれます。